突如出た銘柄Aの中間上方修正。
安堵と喜びも束の間、疑念と混乱に支配された。
前回のお話はこちらです
第80話 運命の上方修正
2016年7月4日月曜日。 銘柄Aは俺の期待と妄想の通りの大暴騰を見せる! 前回のお話はこちらです 近づく銘柄Aとの決着 なんと20%以上の爆上げだ。 先週末の終値2035円だったのが今 ...
幻の円高恩恵銘柄
会社の未来について常に控え目を通り越してネガティブに語る会社、銘柄A。
こんな会社に中期ホールドでの爆益を夢見ていたことに疑問が生まれた。
まずは中身について詳しく確認したい。
本当にネガティブ要素が強いと納得できるものがあるのかもしれない。
そうじゃなく会社の体質的に控え目すぎるだけなのなら文句や要望の1つや2つ言いたいところだ・・・。
そんな思いで急いで会社のIRに電話した。
会社のIRに電話するのは何度目のことだっただろう。
片手で数えられる回数なのは間違いない。
偉そうに今書いているが完全なド素人である。
しかし躊躇も緊張もない。
実は銘柄Aの会社に電話するのは初めてではなかった。
円高恩恵について探るような質問をさせてもらったことがあったのだ。
でもその時は詳しく教えてもらえずにはぐらかされてしまっていた。
ただ、少なくとも俺の期待が後退するような回答は得られなかった。現にその後に買い増しもした。
今回、改めて上方修正資料を見ながら知りたいことを確認させてもらった。
一番知りたかった「円高」スルーについて、半分納得せざるを得ないが半分疑問と怒りがさらに増す回答を得た。
「今年からヘッジをしてしまっている」という内容だった。
極々簡単にまとめると、円安に振れた場合に業績が大きく下振れるのを補うために為替での調整をしていたという話だ。
つまり、円安になったら為替での利益が出るようにしておいてあったというのだ。
だから今回は円高によって本業では利益が増すが為替での損が出るというのだ・・・。
なるほど、、ただネガティブが過ぎるだけで円高をスルーしてたわけじゃないのね。。
本当に円高メリットは幻だったのね・・じゃあしょうがないね。。
・・・・いや待てよ!待ってよ!
じゃあなんで前回の決算で円安懸念でのネガティブコメント出したのよ!
ヘッジしてたんでしょ!
円安に振れてもヘッジしてるから大丈夫って書いてよ!
そしてなんでこの前電話した時ヘッジの話言ってくれなかったの!
なんで隠したの!なんで今は教えてくれるの!
前回と担当者が別なのか、前回の俺の質問の仕方や態度が悪かったのか、それとも次の決算の数字に繋がる話は控えなければいけなかったのか。
いずれにしても今回は教えてくれた。衝撃の事実を。
円安だと業績マイナスになっちゃいます~って散々会社が言ってきたから「円高恩恵享受銘柄」としてここ1か月買われてきたのに、このタイミングで「実はちゃいまんねん」というカミングアウト。
・・・今日出た上方修正の資料では「為替ヘッジしていた」などと書いていないから多くの人に「円高恩恵銘柄ではなかった」ということがバレていないかもしれない。
むしろ円高に関して完全スルーしてくれたことに感謝せねばならない・・
でもすぐにバレることだ・・・この事実が周知されるまでに売らなくては。。
気づけば俺はこの銘柄Aを明日朝すぐにでも売り抜けたい気持ちになっていた。
まだIR担当者さんとの電話の最中だ。
でもそれは仕方ない。
だって一番のホールド根拠になっていた部分について根底が違っていたという事実に気づかされてしまったのだから。しかもIR担当者さんとの電話で。。今更・・・
でもそんなの寂しい。なんか寂しい。
ずっと持ち続けてきた銘柄A。トレード人生で一番長いホールド期間だろう。正直愛着もある。
せっかくIR担当者さんとの電話中なんだ。しかもヘッジの話とか結構色々教えてくれるじゃん。
何か持ち続けたくなるような良いポジティブな話はないのだろうか。
IR担当者さんにこの気持ちをストレートにぶつけてみた。
「たくさん持ってるんです。25000株持ってるんです。先程の話を聞いて正直全部売りたくなってしまっているのですが、何か御社の株を持ち続けたくなるようなポジティブな話はありませんかね・・」
冗談ぽさも交えながらこう切り出し、色々な件について具体的に質問していった。
すると見事に何もない。
ホルダーで居続けたいと思える話がまるでないのだ。何一つない。
無理やり振り絞るかのようにポジティブ要素のある話を一つ聞き出すことができたが、大量の株を持ち続けたいと思えるほどのことではない。
IR担当者さんはとても誠実な人に思えた。
正直に話してもらっていると思えた。
電話を切り銘柄Aの個別掲示板を見にいった。
上方修正が出たことを素直に喜んでいる人。
期待外れ感を正直に書いている人。
無理に買い煽っている人。
様々だ。
その中でも、「上方修正は出たけど売上の伸び悩みが気になる」という投稿に共感を覚えた。
IR担当者さんとの電話の内容からしても、今日出た修正後の中間決算実績値からしても、別に必要以上に控え目だったわけではないのかもしれない。
ネガティブ姿勢は真っ当だったのかもしれない。
正直で誠実な姿勢だったのかもしれない。
為替ヘッジの事実を書かずに円安懸念を口実にしてきたこと以外は・・・。
翌朝、銘柄A売り抜け大作戦が決行される・・!