2015年11月。
俺は株人生最大のピンチを迎える。
前回のお話はこちらです
第46話 2015~背水の陣~
付き合う前もその後も彼女に対して自信満々に株について語ってきた。 しかし年末にかけて大きく調子を崩したことを正直に話したことがきっかけで、ある約束が生まれていた。 前回のお話はこちらです ...
背水の陣の土俵際
年1000万円出金を専業トレーダー継続のノルマとして背水の陣で迎えた2015年。
10月終了時点で出金額は100万円、株口座残高は約150万円。
残り2か月は背水の陣の中の背水の陣となった。
しかし11月9日時点で100万円以上負けてしまい、ついに口座残高は30万円台。
資金30万円を割ってしまうと信用取引ができないためゲームオーバー同然。
ここから復活だ!といくら意気込んでみても永遠に空回りし続けた。勝てない・・・
ゲームオーバーになりついに入金をしていくしかなくなった。
合計30万円の追加入金をしてしまった。
それでも勝てない・・・。
1000万円の出金どころか、ここ数年で最悪の状態だ。
これはもう潮時に思えた。無理だ。
訪れた絶望。
ゲームオーバー。
株開始から負け続けて通算1500万円マイナスにまで到達した2012年も「この負けの経験を活かせる時が必ず来る」と心から思った。
億達成の翌2日間で6000万負けたときもひたすらポジティブにブログを書いた。
その後も数々苦境に立たされてきたが株に対してネガティブになることはなかった。
しかしこの時初めてネガティブになってしまったのだ。
そしてネガティブになった自分に気付くと、完全に心も折れてしまった。
「背水の陣で臨んだ今年も結局こうなってしまった。そして何より現時点から勝っていく力も自信もない、やればやるほど負ける。もし何かのきっかけでまた勝ち始めることができたとしてもまた同じことになるかもしれない、いやその確率の方が断然高い。」
自分の頭の中で株をあきらめたことをみずから悟り、再就職のことなどを考え、今後の人生のことを考え、一晩中眠れなかった。
もう自分の中で完全に株をあきらめ、そのことを兄や母や彼女に全て伝えた。
「やっとあきらめたんだね。ずっと見てきてあなたは成功するとは思えなかった。これからはまたまともな人生に戻れるね。」
そんな言葉が返ってくることを想像しながら伝えた。
何より自分自身が本当にあきらめてそういう気持ちになったからこそ話をしたのだから。
しかし3人それぞれから返ってきた言葉はどれも俺の予想には反したものだった。
全員が励ましてくれたのだ。
まだ頑張れると。
いや待て、今年1000万円出金の目標どう考えても無理だが・・・
誰もそれが達成できるとは思っていなかっただろう。
初めて株にネガティブになった俺の様子があまりにも異様だったのかもしれない。
彼女には直接、母には電話、兄にはスカイプチャットで伝えたが、どの場面でも俺は「人生終わった」みたいな様子に映ったのだろう。
それは定かではないが、完全なるあきらめの境地に達した俺を前にしてなぜか全員がもう一度立ち上がる力を送ってきてくれた。
誰か一人でも予想通りの返事が来たら株をやめていたかもしれないが、みんなの言葉に甘える形でラストチャンスの勝負をすることに決めた。
とはいえ決して残り2か月で1000万円出金を達成しようと思ったわけではない。
目標などは一旦捨て去り、2015年残りの1か月半もう1度最後に株に向き合うことにした、というスタンスだ。
その結果今まで通りのダメな感じであれば再再就職活動をする。
合否の明確な基準もなくフワフワしているが、突然訪れた終了と絶望を緩和するための泣きのラストチャンスをもらったようだった。
母と彼女は励ましの言葉と共に引退試合のようなチャンスをくれた。
そして兄にはトレードについての相談に乗ってもらった。
いくらあきらめの境地からの復活ラストチャンスと言っても、その心の復活きっかけだけで株トレード成績が復活するとは思えなかったからだ。
そもそも勝てる気がしないからあきらめたわけで・・・
とにかく今まで通り続けていてもせっかくもらったチャンスを無駄にして終わりだ!
大きな変化が必要だ。いや、今までやっていたことを全て覆すくらいじゃないと意味がない。
兄は俺とは全くスタイルの違うコツコツ派の逆張りデイトレーダーだ。
日ごとの勝率がめちゃくちゃ高く、まさに本来専業トレーダーが目指すべきスタイルとも言えるのだろう。
兄は塾経営と講師をやっている兼業トレーダーだが。
俺が「兄ちゃんに弟子入りしようかな」と切り出すと、兄は塾の授業中にも関わらず逆張りデイトレのやり方を教えてくれた。
しかし兄はそれよりも俺の資金管理のずさんさに目をつけ、
「1日の勝ち額を2万までと制限すれば」とアドバイスしてくれた。
大きく勝とうという欲を捨てて小さな目標を確実に達成していくスタイルを俺に身に付けさせようとしてくれた。
俺のこんな状況から一気に大復活などあり得ないしもっと長い目で続けられるようにと考えてくれたのだろう。
俺はそのアドバイスには難色を示した。
40万の資金から残り1か月半の闘いにもはや資金管理など関係ない。
長い目のアドバイスの兄の気持ちはありがたい。
しかし俺の中では、限られた時間の中で劇的な変化と感触を手にする必要があると考えていた。
今は資金管理などよりも最悪な状況を打破できるトレード手法を模索したかった。
劇的に生まれ変わるための新トレード手法をラストチャンスにぶつけたかった。
・・・そして勝負を賭ける新手法はその兄との会話の中で生まれたのだった!