株で4回も億をつかんだものの、4回とも破産に追い込まれた男の記録です。

4回億
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小説本編 第1話~10話

第1話 株を始めたきっかけ

更新日:

大学4年、就職を3カ月後に控えた2006年1月、俺は株というものを始めた。

ちょっとしたきっかけから大きな決断というわけでもなく気軽にスタートした。

順調に進んでいた俺の人生をとんでもなく狂わせることになるとも知らずに。

スロット、草野球、そして株

俺の名前ははD(ディー)。

中学高校とマジメに勉強し、大学では少し遊び過ぎた面もあったが3年までで単位は取り終わり、就職活動も4月までには終えていた。

就職活動のためにバイトも辞めていたから、大学4年の1年間は何も予定がなかった。

そんな状況の一般的な大学生は、その時間を使って海外旅行にでも行きまくるのかもしれない。もしくは就職に向けて何かしらの準備や自己啓発でもするのかもしれない。

でも俺は完全にノープランだった。

そんな俺に、2歳上の兄がスロットに誘ってくれたのだった。

 

兄は2年先に俺と同じ大学に入っていたが、大学よりもスロット店に通っていた。

暇だった俺は誘いに乗って一緒にスロットに連れていってもらった。

兄の言う通りに台を選び、兄の言う通りにスロットを打つ。

気軽に行ったその日、俺が一日中バイトをしても手に入らない額のお金をゲットした。

俺は夢中になって兄からスロットのコツのようなものを聞き、参考にするべきサイトも教えてもらった。

それからというもの半年以上もの間、毎日のようにスロットに出掛けた。

朝の開店前から並ぶことも閉店までやり続けることも多かった。

一番の趣味、いや日課になっていた。実際には毎日ではないが、当時の記憶はスロットのことが大半を占めている。

 

そんな当時、スロット以外の数少ない活動は草野球だった。

大学の野球サークルを引退した後もバッティングセンターに通っていたが、そこで草野球チームメンバー募集の貼り紙が目に留まった。

このスロットと草野球チームとの2つの出会いが俺を株の世界へと誘ったのだ。

 

草野球は地元のチームで、土日の昼間に1回練習か試合、水曜日のナイター練習1回の週2日の活動をしていた。

年齢も最年長は30歳だが俺に近い人もたくさんいてとても居心地が良かった。

しかし入って1カ月後に冷や汗をかくことになった。

中学時代の野球部の1学年上の先輩がこのチームに入ってきたのだ。

 

小学校6年間野球を続けた俺は、中学でも野球部に入ったがすぐにケガをしてしまい練習に参加しない日々が続いた。

試合の見学やミーティングなどには参加したがそんな状況下での先輩との厳しい上下関係になじめず数カ月で退部することになった。

中でも一番ネチネチ言ってくる先輩が一人いた。その人の影響で迷わず退部したと言っても過言ではない。

まさにその先輩が居心地の良い地元の草野球チームに入ってきたのだ。

9年ぶりの再会である。

 

当然俺の方は相手の顔を忘れるわけもなかったが、幸いにもあちらは俺のことを全く覚えていないようだった。

トラウマというべきなのか、最初は若干避けるように距離を置いて牽制していたが、時が経つにつれその先輩とも打ち解けていった。

 

年末の草野球チームの忘年会。俺はここで株と出会うことになる。

俺は例の先輩と席が隣だった。

先輩は高そうな時計を身に付け、高そうなバッグを持っていた。

そして、一瞬目を疑ったが100万円の札束をいくつかカバンの中から出してちらつかせてきたのだ。

年齢は22~23歳。俺の1個上。初めて見るそんな人間に興味を持ったが、どうやら株で稼いだお金らしい。

周りの人もその光景を見ていたが、話を聞くとどうやら常に札束を持ち歩いているようだった。

先輩は変な勧誘などをすることもなく、ただただ株で稼いでいることを自慢したいだけなようだった。そして株について親切に色々教えてくれた。

最後には先輩の株ブログと、他の人が書いているオススメ株ブログ10個くらいのメモを渡してくれた。

家に帰ると俺は夢中になってそのブログを片っ端から読み漁った。

スロット狂いの俺が株に食いつかないわけがなかった。

 

株のことはもちろん知ってはいたが、大人の世界の話でお子様の俺には全く縁がなかった。

しかし株のことを知れば知るほど株が魅力的に思えた。

スロットで少しのお金を増やして喜んでいる間に、株ブログの人たちは十万円以上稼いでいるのだ。

数十万以上稼いでいる人もいた。

株の人が稼ぐ額には個人差があるが、その最も大きな要因は運用している資金額だとわかった。

つまり、株の世界はお金を増やして資金が大きくなればなるほど雪だるま式に大きなお金を稼げるようになっていくのだ。

これがスロットとの一番の違いだと感じたし、スロットにはない魅力、スロットでは見ることができない夢の世界だと確信した。

 

なぜ今まで株に興味を持って調べたりしなかったのか!

スロットも兄に誘われなければやることもなかったわけだが、スロットの流れから自ら株に辿りつくべきだった。

スロットの延長の感覚で、スロットで稼いだお金を迷わず株につぎ込むことに決めた。

 

兄に教えてもらったスロットはすぐに稼げるようになった。

株は先輩も簡単に稼いでいるように見えた。

そんな環境ということもあり、この時俺は自分が株で稼げることを全く疑わなかった。

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新生ジャパン

兄側のノンフィクション小説も連載中です
株で億り人になった弟を持つ男
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