ついに心の底から株トレーダーをあきらめた。
しかしそれを母、兄、彼女の3人に伝えると予想に反して励ましの言葉が返ってきた。
その言葉に甘えるように1か月半の泣きのラストチャンスに挑むことを決意した!
前回のお話はこちらです
第47話 絶望のゲームオーバー
2015年11月。 俺は株人生最大のピンチを迎える。 前回のお話はこちらです 背水の陣の土俵際 年1000万円出金を専業トレーダー継続のノルマとして背水の陣で迎えた2015年。 10月終 ...
兄との会話で生まれた新手法
ラストチャンスをもらいメンタルは奮い立った。
しかし勝てるとは限らない。
それどころか勝てる気がしないのだ。
藁をも掴む思いで兄が勝ち続けている手法を教わろうとしたが、答えは自分の中にあった。
その答えを導き出してくれたのはこんな会話だった。
兄「いつも15時以降どういう生活してんの?」
俺「少し休んでからトレード記録つけたり復習して、翌日のためにチャートみたりして監視銘柄の入れ替えとか材料確認したりしてるね」
兄「それどのくらい時間かけてんの?」
俺「数時間は毎日使ってる」
兄「俺なんて15時になったら株のこと一切考えないし、朝もギリギリまで考えてないよ。予習で思い込むよりももっと自然な流れに沿う練習をしてみたらいいと思うな。」
この兄のアドバイスには納得できる部分があった。
俺は翌日のトレードの予習として毎日テクニカル目線で銘柄を選び、監視に据えていた。
テクニカルと言っても難しいテクニカルを使うわけではない。
毎日値上がり率ランキングから日足・分足推移・出来高などをチェックするだけだ。
当日と前日の4市場(東証1部、東証2部、マザーズ、ジャスダック)それぞれの値上がり率ランキング30位までの銘柄をチェックするという方法だ。
4市場×30×前日&当日ということで延べ240銘柄の日足・出来高チェックをして、翌日上がりそうな銘柄を監視に並べてデイトレに備えた。
入れ替えで監視を外した銘柄はエクセルで控えておいて、翌日もう1日だけチャートを確認してやはり熱そうであれば翌日カムバックさせることもしていた。
とにかく毎日多くの銘柄のチャートをチェックして約130銘柄の5分足チャートを15台のモニターに並べ、準備万端のつもりで日々臨んでいた。
多い時は130銘柄中90銘柄も入れ替えることもあった。
2回目の億トレから陥落した後に気合いを入れ直して前日準備に力を入れ始めた時から、2年以上もルーティンで同じ作業を続けてきた。
しかし結果は今の絶望的状況である。
無駄な努力だったのかもしれない。
努力の方向が間違っていたのかもしれない。
いずれにしろこのまま同じことを続けるわけにはいかないし、何かを大きく変える必要があるんだ。
自分の目でチェックして選んだ銘柄を監視に並べてのデイトレは勝てない。
判断が遅かったかもしれないが2年間やり続けて結果が出なかった。
でも振り返ってみれば俺のトレードの銘柄選定は完全にそれだけというわけではなかった。
掲示板や投資顧問の無料メルマガや有料情報、いわゆるイナゴトレードも割合は多くないが依然として続けていた。
兄との会話は続き、そのイナゴの話題が出たところから話は急展開を見せた。
俺「イナゴトレードは最近も勝ててたんだよね」
兄「イナゴトレードだけなら全勝出来るの?」
俺「全部ってわけじゃないけどほぼ全勝出来るはず」
兄「でもそれはやってみないとわからないところだよね」
俺「いや、イナゴトレードだけなら絶対勝てる!」
兄「じゃぁイナゴトレードだけやってりゃいいじゃん」
俺「まぁそうなんだけどね。どうしても株価予想もしちゃうんだよね」
兄「でももうそんなこと言ってる場合じゃないだろ。イナゴで勝てるならイナゴやればいいんだ。そんで前日準備も全部イナゴトレードをするための準備にすればいいじゃんか」
俺「確かに」
兄「イナゴトレーダーにも色々いるんだろ?いつも大口の動向とか気にしてるけど、そんなのより、イナゴで群がってくるやつらと勝負した方がよっぽど勝てると思うけどね。大口の思考を読もうとしても大衆心理の逆を突いてくるケースも多くて難しいだろ」
俺「それもそうだね。あ、そうか・・・。そうか、そうだよ!イナゴの中で最強になればいいんだ。殿様イナゴについていくイナゴの中で最強なら絶対負けないんだから。事前準備で殿様イナゴを探すのもいいね!」
兄「ま、まぁそうだけど・・・当然イナゴの中でも努力してるのがたくさんいるだろうから最強のイナゴトレーダーになるのだって簡単なことではないと思うけど」
俺「いや、大丈夫!イナゴトレードに関しては絶対平気!」
兄「上には上がいるもんだぞ・・・」
俺「平気!いけるわ!ありがとう!兄ちゃんのおかげでここに最強のイナゴトレーダーが誕生したわ」
あまりの俺のテンションの急変っぷりに兄はあきれているようだった。
しかし俺はやる気に満ち溢れていた。
最後のチャンス、これに賭ける価値はある!むしろ俺にはもうこれしかない。
兄に気づかせてもらった、目指すべきは最強イナゴトレーダーという事実。
この時俺がピンと来て全力を注ごうと決意したのには、最近の経験と発見から生まれたもう1つの理由があった。
兄との会話とその経験のタイミングが重なったのはものすごくラッキーなことだった・・・