長い間書き綴ってきた銘柄Aとの闘い。
ついに完全決着の時を迎える。
前回のお話はこちらです
第81話 衝撃のカミングアウト
突如出た銘柄Aの中間上方修正。 安堵と喜びも束の間、疑念と混乱に支配された。 前回のお話はこちらです 幻の円高恩恵銘柄 会社の未来について常に控え目を通り越してネガティブに語る会社、銘柄 ...
ブン投げ大作戦決行
待っていた上方修正の内容と、IR担当者さんとの電話。
これで完全に銘柄Aとの別れを決意。
オフ会でオススメした後「買った」「持ってる」と俺に直接言ってくれてた人には「明日大量に売る」「寄りでは絶対に1枚も売らない」とお伝えした。
売り抜け大作戦の意志は固まっていた。
夜間PTSはプラス圏で推移した。
上方修正が単純に好感されているようで、プラスで始まりプラスのまま終わった。
バレていない・・・
ワンチャンプラスで売れる・・
大きく上がってくれたところから売り始めようか。
シミュレーションや作戦が頭の中を駆け巡る。
とにかく、約束を守る意味でも、自分自身が高く売り抜けるために朝一の雰囲気を悪くしない意味でも、寄りでは1枚も売らない。
翌朝9時前。
PTSの推移とは裏腹に大幅GD気配から始まる・・。
俺にオススメされた人がたくさん買ってくれていたのか・・
もしかしたら俺にオススメされて買ってくれた人が他の人にもオススメしてくれていたのか・・
いや、普通に円高メリットの幻に市場が気づいてしまったのだろう、やはりバレた。。
そりゃ、あれだけ円高恩恵企業として煽られて値上がりした後に出た上方修正資料で円高スルーなわけだから当然か・・・
前日終値2066円に対し、朝寄った株価は1926円。
夜間PTSなどアテにならないものだ・・・。
オフ会でオススメした人に対してはとても申し訳ないことになってしまったが、PTSか寄りで逃げてくれているはずだと信じて寄った後は自分のことに集中するしかない。
むしろ俺がここで売るのをやめて爆上げして爆益持越しとかになったら気まずい・・・などと考える余裕も1ミリもない、俺は本当に早く売りたいのだ。
予定通り作戦は決行だ。
1900円の薄板銘柄で25000株を売り捌いていくのはなかなかの至難の業だ。
頭が必要だ。戦略が必要だ。
しかし躊躇して遅れるのだけは避けたい。
上方修正直後、しかも誰かのブン投げでのGDで寄った後の直後。
出来高、つまり売買が多くなるこのタイミングで逃げ遅れたら取り返しのつかない致命的ミスになりかねない。
寄った直後から1000株、1500株といった株数の売り注文を重ねていく。
俺はすぐに気づく。
買いアルゴさんがいらっしゃる・・・!
たとえば1850円に600株の買い板があるところに1000株の売り注文をぶつけてみる。
すると600株約定の同秒刻に、本来売れ残るはずの400株も買ってもらえているのが歩値で確認できた。
普段のトレードであれば売るのをやめて逆に買い増し直すのを検討するところだ。
しかし今回ばかりは違う。
この積極的な買いアルゴさんがいるうちに持ち株をガンガン売り捌きたい・・!
買いアルゴさんを利用しながら効率良く売り続けていると、やがて買いアルゴさんの体力が尽きたかのように株価は下がっていく。
ある程度そのままズルズル下がった後にまた買いが積極的になる。
当然俺は売り続ける。
やがて俺という大きな売り主体に気づいたかのように買いが全く入らなくなり、急落気味に下がり1698円まで値下がりした。
俺はまだ1万株ほど売り残してしまっていたが、フル板を見てもこの1万株を売り抜けるには1566円のストップ安までブン投げるしかない。
そもそも1900円でも1850円でもアルゴ注文が積極的に買いに来ていたのだから、そんな安いところまで焦ってブン投げる必要はないだろうと判断して一旦売るのを止めた。
その判断は大正解だった。
俺の売りが止まり、後場になるとジワジワと株価は反発していった。
結局1846円まで戻して引けることになる。
1698円で底打ちになったような雰囲気に油断した面もあったが、反転の動きに水を差さないようにという意識も働き、後場は3000株だけ少しずつ売り上がり、7000株は持ち越しとなった。
今日俺から株を譲り受けた買いアルゴ発注主体が明日買い上げてくれるのではないかという淡い期待も抱いてみた。
しかし、相場が終わった後の銘柄Aの掲示板を覗いてみると俺の楽観とは真逆の悲観で溢れていた。
「売りがしつこく湧く」「大口が売っている」とも書かれていた。俺のせいだ。
今日ザラバを見れなかった兼業ホルダーが明日売ってくるかもしれないと思い直した。
翌朝、案の定の大幅GD気配で始まると、俺は残っていた7000株を躊躇なくブン投げていき、売り切った。
2日間の銘柄Aでの損失額は600~650万円だった。
1日目仮にストップ安になろうが全部売り切る覚悟で臨んでいたため、御の字の結果だった。
銘柄Aとの長い長い闘い、これにて完結。
ちなみにこの後銘柄Aは長い低迷期に突入した。
IR担当者さんは俺に誠実で正しい話をしてくれた。とても感謝している。
最初に電話した時に為替ヘッジの件を教えてくれなかったこと以外は。。
そしてちなみに・・・俺の株トレードは銘柄Aの低迷を遥かに凌駕するドギツい低迷期に突入していく・・