1億円達成から1日で4500万円負け。2年付き合った彼女との突然の別れ。
人生のダブルパンチを食らいもはや抜け殻状態。
株式相場はそんな弱った人間にさらなる追い打ちをかけてくる。
恐ろしすぎる相手を前に俺は世紀の大敗走を成し遂げる。
前回のお話はこちらです
第33話 一日天下
翌日の5月15日、奇しくもこの日、新興市場は暴落開始の日となった。 4月初日や5月初日のにも暴落はあったが、この日の暴落はその後違う意味を持つことになる。 マザーズ指数がこの日の高値を超えるのは3年後 ...
逃げるが勝ち
4500万円負けの翌日、今日も株式相場は始まる。
夜のショックな出来事もありメンタルはどん底だったが、今日も強制的な大勝負が約束されていた。
昨日の最後にあのエイプリルフールの大暴落の日と同じ行動を取っていたからだ。
半ばヤケクソで全力持越しスイングを敢行していたのだ。
昨日が終わった後の冷静な頭でもう出金をしようと決めていた。
しかしこのスイング銘柄を売るまではそれすらできない。
4月1日の翌日は大博打スイングが成功して一気に復活したが、もうそんなことは求めない。
とにかくこれ以上大きく減らさずに出金できればそれでいい。
そのささやかな希望が通ることはなかった。
マザーズ指数は昨日の暴落の勢いが止まらない。
この日の午前中だけで今年最大の下落幅をつけることになった。
午前中、昨日から持ち越していたスイング2銘柄以外をトレードすることはなかった。
まさに抜け殻のように祈るだけだった。
大幅マイナスから始まり、少しでもマイナスが縮小することを祈りながらさらにマイナスが拡大していくのをただ見守るだけだった。
10時過ぎ、全てを諦めて2つともブン投げた。
パンパンポジションのプレッシャーの日々から解放されやっとノーポジになることができた。
長い闘いは終わったのだ。
その後も午前中いっぱいはボーっと相場を見続けた。
もし10時過ぎにブン投げていなければさらに1500万円の損が増えるところだった。
最後の行動が正しかっただけでも精神的にかなり救われた。
それでも結果は1700万負けだった。
人生初の1億円達成から1日半で実に6200万円の損失。
こんなことを達成した人はなかなかいないだろう。
珍しく昼からブログを更新し盛大にドヤった。
今できることはそれくらいしかなかった。
・・・いや違う!
壊滅的なこの状況でも俺には大事な任務が残っていた。
そう、出金だ。
昼前に早速、4200万円の口座残高から700万円だけを残して3500万円を出金した。
よく考えれば充分すぎる大金だ。
元々出金して残してあった1000万円と合わせれば4500万円を銀行口座に残すことができた。
この半年間、狂乱のアベノミクス相場に乗っかりこれだけのお金を手に入れることができた。胸を張っていい。
その上で700万円から新たな勝負を始められる!
もうブッコミによる流動性の問題で大失敗をする心配もない。
ブログでも常々「熱くなったブッコミさえしなければ勝ち続けられる」と豪語し続けてきた。今こそそれを証明できる!
不利な勝負に出てしまう暴走は出金したことにより防がれるのだ。
何より精神的プレッシャーからの解放が大きい。
もうたった数時間で1000万円以上吹き飛ばす悲しみとはサヨナラだ・・・。
思えば「余裕資金で株をやる」という状況は7年間続けてきて初めてだ。
これからは余裕を持って楽しみながら株をやる。
そんな精神状態でこそ良いトレードができて良い成長ができるってもんだろう!
新たな闘いはその日の午後から始まった。
出金という大敗走を成し遂げた俺はもはや抜け殻などではない。
身軽になった信用余力をブン回しながら今までよりも小回りの利いたトレードをサクサクと積み重ねる。
これだ。この感覚だ。
全トレード勝てるわけはないが、間違いなく勝ちやすい、そして負けトレードも傷が浅いうちにラクに逃げられる。
となればトータルで右肩上がりに勝てるのは確実に思えてくる。
いきなりの自信満々モードに突入だ。
700万円でスタートし、午後の半日だけで約250万円を勝つことができた。
その次の日も好調を維持して口座残高の割には大勝ち、そして翌日はさらなる大勝利。
700万円の残高は2日半で1500万円に達したのだ。倍増以上だ!
やはり少ない資金でやりさえすれば俺は無敵だ。
思っていた通りだ。ブログで書き続けていた通りだ。
大量ブッコミという力を使わずとも2日半で800万円勝てた。
大きなリスクを取らずにやり続けても1週間で1000万円勝っていくこともできるのではないか。
2日半での資金倍増は自信の復活だけにとどまらず必要以上に気を大きくさせてしまった。
実はこの2日半の期間はマザーズ指数のリバウンドつまり反発上昇があったのだ。
3日前からおとといの午前にかけて1日半続いた大暴落の後、その午後から2日半で暴落幅の3分の2ほども上昇した。
それはある意味、出金せずそのままの資金で勝負していれば大勝ちできた可能性が高かったことを意味していた。
実際700万円から倍増以上に増やせたのだから、4200万円の資金のままこのリバウンド相場に乗っていれば一気に8000万円くらいに復活していたかもしれない。
それでも俺は「出金しなければよかった」という後悔をしたわけではなかった。
先程書いた通り、出金したことにより勝てていた部分は大きいと感じていたし、それにより自信を取り戻すこともできたからだ。
しかしそれでも再び葛藤のようなものは生まれ始めていた。
そしてその葛藤が再び俺を奈落の底に叩き落としにくるのだった・・・