マルチモニターで大幅に進化したトレード環境。
今まで見なかった情報などを取り入れ、俺のトレードの世界は広がりを見せた。
中でも、リアルタイムに株の掲示板を見始めたことで大きな流れを掴むことになる。
前回のお話はこちらです
第18話 マルチモニターで変わったデイトレード
友人への相談をきっかけにして突如実現したマルチモニター環境。 これを機に俺の負け続けトレード人生は少しずつ流れを変えることになる。 前回のお話はこちらです 複数画面の優位性 それまで、ノ ...
掲示板を参考にしたデイトレード
まず初めにチェックをし始めたのが某大型匿名掲示板の市況スレというものだ。
ここで株の話が語られていることは以前から知っていた。
翌日の狙い目を探す準備などで覗いたことがあったからだ。
遡っていくと相場が動いている時間でも様々な情報が飛び交っているのは知っていた。
しかし自分の狙っている銘柄を追うだけでも画面切替の時間がネックになっていたわけで、その掲示板をトレード中に見るという発想には至らなかった。
しかしマルチモニターで多くの画面を同時表示できるようになったことで話は変わった。
自動更新のフリーツールもダウンロードして、トレード時間中にその掲示板を見始めることにした。
すると、そこに書かれたニュースや会社の情報をきっかけに該当銘柄の株価が動くのだ!
これは使える!もっと早くチェックすればよかった!
俺は積極的にその画面を注視するようになり、書かれた銘柄をトレードするようになった。
ところが、たまにはそれで勝てたりするものの、負けてしまうことの方が多かった。
匿名掲示板という性質もあり、情報を投稿する人も好き勝手に書くのだ。
自分の持っている銘柄が上がるようにとか、自分のトレードが有利になるように、そんな投稿ばかりだ。
本物の良い情報であれば上がり続けることもある。
しかし多くの情報銘柄は一瞬だけ上がり、その後すぐに下落に転じる、いわゆるハメコミと言われる情報だ。
匿名だから誰が良い情報を書いて誰がハメコミなのかはわからない。
そんな中、その掲示板に1つの有益な情報を書いてくれた人がいた。
「この掲示板とは別の記名株掲示板にいるMジョーダンという人の投稿が当たりまくっている」
そのことを書いてくれた投稿にはいくつものレスが付いた。
すでに知っている人も多いようだ。
いわゆる当たり屋と呼ばれる存在らしい。この人が推奨する銘柄を買えば簡単に大勝ちができるらしい。
俺もすぐにチェックしにいった。
その掲示板では投稿者はしっかり名前付きで、アバターまでついていた。
話題に上がっていたMジョーダンを見つけると拍子抜けした。
変態そのもののアバターを使い、投稿内容も「ウィ~~~~」「じゃがじゃが~~~」など、おふざけが過ぎたのだ・・。
こいつが話題の当たり屋。。
しかし確かに1つの銘柄について激しく推奨しているようだった。
とりあえずその銘柄を見てみると、すごく上がっていた。
でもしっかり見るとその銘柄は1か月前から超大幅上昇している。
この人はすでに上がっている大化け銘柄をさも自分の手柄のように書き続けているだけではないのか。
そう疑い、Mジョーダンの投稿一覧を遡っていくと、なんとまだその銘柄がほとんど上がり始めてもいないうちから推奨し続けていたのだ。
そして更に遡るとその前にも違う銘柄の爆上げの予言を的中させていた。
俺が調べた限りでは今回上がっている銘柄は第二弾目の推奨銘柄のようだった。
Mジョーダンの存在はその銘柄の上昇と共にトレーダーの間に知れ渡ることになる。
匿名掲示板の方でもMジョーダン専用のスレが立ち、たちまちヒーローになる。
その流れに乗ったMジョーダンは次々と新しい銘柄を推奨するようになり、その全てが発表直後からストップ高を連発することになる。
順張り脳の俺は当然のようにかじりついてMジョーダンの新しい投稿を待った。
その掲示板を自動更新するフリーソフトはなかったため、投稿一覧画面の更新ボタンを頻繁に押してチャンスが来るのを狙うのだ。
新規銘柄が投稿されれば問答無用で上がるが、今までに書いている銘柄についての投稿でも投稿があるたびに急上昇するのだ。
これはイナゴ投資法と呼ばれた。
影響力のある人の推奨や発言に対して一斉に群がって買うからだ。
群がる人が多ければ多い程、株価は短期的に上昇する。
そのイナゴを操る存在という意味で、Mジョーダンは殿様イナゴと呼ばれていた。
彼の力はとてもすごく、人気化するきっかけになった銘柄はたった3か月で20倍もの株価をつけた。
他の推奨銘柄も1か月で5倍6倍になった。
しかしその流れは長くは続かなかった。
調子に乗ってしまったのか新規銘柄を頻発するようになり、そうなるとイナゴ達も複数の銘柄に分散してしまったのだろう。
1つ1つの銘柄の爆発力は次第に弱まっていった。
殿様イナゴの影響力にも上下の波が存在するというのだろうか。
そしてイナゴ銘柄にも他の株と同じように上下の波が存在した。
イナゴが集まり終わった後は急落することになる。その後に買う人がいないからだ。
イナゴ達はいずれ離散していく、つまり売り注文を出す。そうなれば株価は下落の波が始まる。
株価20倍や5倍6倍を演出していた初期であれば上昇の波は1週間単位で続いたが、3か月が経つころには1日か2日しか続かなくなった。
その後もさらに影響力は弱まっていき、イナゴは集まりすらしなくなっていくことになる。
Mジョーダンには俺も何度も良い思いをさせてもらった。
しかしイナゴ投資初心者ゆえか影響力が弱まっていく過程での判断を誤った。
終盤の銘柄でも初期と同じようなイメージで飛びついては大きくやられ、Mジョーダン以外の銘柄でも負けてしまい、結局イナゴ投資法で得た利益は全て吐き出してしまうのだった。
順張り脳の俺の株人生において夢のような期間だった。
夢から覚めると以前と同じ状況の俺に戻っていたというわけだ。